まだロケしているんですか、と言われればそれまでですが、10月も終わろうとしている今も粘り強く撮影を続けている私たち六ヶ所チームです。そうです、映画の公開は来年の3月3日(金)・4日(土)。でもまだこのドキュメンタリーの着地点は見えていません。
 
 9月の終わりから10月の初頭にかけてイギリスのセラフィールドへ行って来ました。セラフィールドと言えば六ヶ所村の大先輩。軍事用としてセラフィールドの再処理工場が運転をはじめたのは50年以上も前のことです。現在は商業ベースで稼働しており、日本はセラフィールドの大のお得意先です。というのも日本の原発から出る核廃棄物はここへ輸送され、ここで再処理されているのです。もちろん再処理された後日本に送り返されてきます。日本とイギリスの間で核廃棄物を運ぶ輸送船が何往復もしているのです。私たちが滞在している間にも日本の輸送船がBNFL(再処理事業を担っている会社)専用の港に船舶していました。



sellafield



 80年代までは規制が非常に緩く、高濃度の放射性物質が海や大気中に放出されていたとか。アイリッシュ海で漁をしている漁師さんは「以前は奇形の魚もごろごろ採れたよ」と話してくれました。さすがに規制が厳しくなり、今ではここの海の魚介類には異常がない、とのことだったのですが、現地の魚介類を食べるのはやはり気が引けてしまいました。 

 セラフィールドの向かい側、アイリッシュ海に浮かぶ人口7万人ほどの小さな島、マン島(TTというモーターレースで有名なので知っている人も多いのでは)を訪ねました。漁師町が点在しており、町にはシーフードレストランが立ち並んでいました。日本人並みに「週3、4回は魚を食べる」という人もいました。再処理工場がすぐ近くにあっても、例え事故を起こして魚介類が売れなくなったとしても、地元で採れるものを食べ、推進であれ反対であれ再処理工場と共に生きてゆくことを、もう何十年も前に覚悟したこの島の人たちの話を聞けたのは貴重な経験でした。どんな話を聞けたかは映画を見てのお楽しみにしておきます。

 ところでイギリスでは意外といっては何ですがご飯がおいしかったのでちょっとびっくりしました。イギリス人のカメラマンとコーディネーターと一緒にお仕事をしたのですが、彼らいわく
「イギリスの食事がまずいので有名だったのは20年前のこと」だそうです。


羊

羊がそこら中に放牧されていました。
イギリスでは毎週日曜のランチに決まってラム肉にミントソースを添えてたべるそうです。やはり新鮮なラム肉はにおいがなくおいしかったです。羊さん、ごちそう様でした。