夏本番、今日の太陽は格別に暑かったですね。今東京電力では「おでんき予報」http://www.tepco.co.jp/forecast/html/demand-j.html を出して節電を呼びかけています。柏崎刈羽原発が震災の事故で停止しているので供給が減っているということなのです。しかし、数年前、東京電力が持っている全ての原発を止めた夏も無事に乗り切った実績があります。これを機会に省エネに本格的に取り組んだらどうかな?

信濃毎日に記事を書きました。8月1日掲載分です。「原発のリスク 議論をー

1998年以来、核や放射能汚染をテーマに映画を作ってきた。私自身はマスメディアの世界にいながら核や原発にかつて興味を持った事はなかった。核の平和利用であり、日本は資源が少ないから、原発はしょうがない、と長い間思考停止状態にあった。ところが、イラクに取材に行き、がんや白血病になる子供たちが湾岸戦争後増えている事を知った。経済制裁で薬がなく子供たちは治療されないままに亡くなっていた。その状況は基本的に今も変わらない。なぜ、がんや白血病の発症が増えたのか?科学的に100%証明されていないとはいえ、劣化ウラン弾という放射性廃棄物から作られた兵器がその原因ではないかと疑われている。加害性ー私が衝撃を受けたのは子供たちの悲惨な死に様に加えてその劣化ウラン弾が日本で電気を豊かに使う私自身の生活のゴミから作られたということを知った時だった。劣化ウランは原子力産業から出てくる放射性廃棄物であり、アメリカでたまり続けているそれは日本に輸出される濃縮ウランを作る過程で出てきたものでもある。原発が核の平和利用であるという事はここで崩れ去ってしまった。イラク・アメリカ・日本で微量の放射能被爆に苦しむ人々を追った映画の後に、私は自分自身が電気を使う事の加害性に向き合わなければならなかった。今回の柏崎・刈羽原発の事故で原発の脆弱性が白日のものとなった。しかし、その脅威は今始まったわけではなく、そこにずっとあり、指摘され続けてきたものだ。にもかかわらず私たちの生活に埋め込まれ、見えないようにされてきただけなのだ。55基の原発が稼動し、日本の3分の1の電力を賄っている、その光と影をきちんと知らねばならない。国内に溜まり続ける放射性廃棄物は原発稼動以来すでに原爆に換算すると100万発を超える量となった。私たちはそれがあたかもないかのように暮らしている。そして原発が何か事故を起こすたびに漏れたのは健康にも環境にも害がない微量の放射性物質であり、原発は安全であり、重大事故は決して起こらないとあらゆるメディアの広告で喧伝されてきた。それを信じればなんと生きやすい事だろう。ところがそうは問屋が卸さない。閉鎖性ー大量に電気を作る事ができる原発はまた、最も毒性の高い廃棄物を日常的に生み出し続け、重大事故が一旦起きれば人類史上未曾有の被害をもたらすものとなる。六ヶ所村には原発で一旦使い終わった核燃料を切り刻み、溶かし、プルトニウムとウランを取り出す工場が完成し稼動にむけてカウントダウンが始まった。この六ヶ所村を舞台に二年かけて映画を撮った。その過程で見えてきたのは原子力産業の驚くべき閉鎖性だった。工場の事業主日本原燃は私の取材を最後まで拒否した。日本中の電力会社が出資してできた会社の姿勢がこうだ。この六ヶ所再処理工場は原発一基が一年に出す放射性物質のおよそ300倍を毎日環境に放出することになる。今回の事故で漏れた量に比べたら桁が幾つも違う量の放射性物質だ。しかし、微量で安全基準値内だという。また大量にプルトニウムを生産するが、そのプルトニウムの使い道は目下ほとんどないのが実情だ。

映画には推進する人々も反対する人々も出てきて率直に意見を言っている。出来うる限り公平な視点で作ることに注力した。それは普通の人々に自分たちの原発で作った電気を使う生活の内実を知り、考えて欲しいからだ。非常識ー

事故がない事を前提に運転されている原発の危険を訴える人々の声を、「科学的ではない」「情緒的」「非現実的」と切り捨て、原子力産業も国もメディアも本当の意味で議論する場を作ってこなかった。世界で最も地震が集中する、しかも活断層に原発が建っているのは日本だけだ。そのリスクを我々国民は本当に知らされているのか。地震で起きる原発の事故は単なる震災ではない。原発震災と呼ばれる事態が起きればその被害は想像を絶するものになる。数時間以内に広範囲が濃厚な放射能汚染に覆われ、被曝するその汚染地帯に救援に行けないまま、被害者は見殺しにされることになる。では私たちはどうしたらいいのだろうか?一度に解決できる問題ではない、しかし解決しなければいけない問題だ。まず、原発が持つリスクをきちんと公開し、なるべく早く議論を始めるしかないだろう。電気を使う私たち自身が考え、選択しなければ何も変わらない。」

そして朗報があります。8月25日から都内、渋谷のアップリンクで再び「六ラプ」が劇場公開されます。都内で三度目の劇場公開です。31日まで毎日12時45分から一回上映されます。まだまだ観ていない方がいらっしゃいますからぜひ、回りの知人・友人にお勧め下さいね。お願いします!!

kama