今日の朝日新聞から二つの記事をご紹介したいと思います。一つはページのおよそ半分を占める「核燃サイクル正念場」の記事。最終試運転を延期した内容を報じています。16回目の延期の原因がガラス固化体を作る溶融炉の技術的欠陥にあること、この溶融炉以外はフランスの技術であり、ここだけが国産の技術だったというくだりで
「すべてフランスの技術で作るはずだったが、(国側から)ぜひ国産技術を採用してほしいと頼まれた」

と当時の関係者が述べている。フランスの技術だとなんと寿命が200日。六ヶ所再処理工場は5年を目指した。しかし、稼動する前にすでに使い物にならないようだ。フランスのやり方だと高度に汚染された溶融炉そのものが廃棄物として大量に出ることになる。そういう技術的な問題もあるが、なによりもなぜ、そこまでしてプルトニウム発電にこだわる必要があるのか、という本質的な問いかけが今、必要なのではないだろうか? 
現在、六ヶ所再処理工場に溜まっている高レベル核廃液は小学校の25メートルプール一杯分もある。これをガラス固化するめどは立っていない。この溶液は冷やし続けなければ沸騰し、爆発する。この間漏れていたものも外気に触れたとたん沸騰し蒸発していたから、警報ベルが鳴り続けたのに工場ではなかなか発見できなかったとか。
『六ヶ所村ラプソディー』~オフィシャルブログ-使用済み

記事では「再処理を動かさなければ核燃サイクルが回らないという日本の立場を、米国に理解してもらう努力が必要だ」という原子力委員代理の言葉でしめくっている。使用済み核燃料が原発で満杯になってしまう、というのだ。なら、直接処分を考えるべきだろう。プルトニウム燃料がいかに非現実的であるか、費用対効果が悪いか、もんじゅをみれば解る。すでに9000億円を注ぎ込み(税金で)とまったまま、再開のめども実はたっていない。

一方、もう一つの記事はスウェーデンが28年ぶりに原発政策を見直し、新たな原発を建てる提案を政府が行うことを報せている。現在、スウェーデンの原発は10基、国内電気需要のおよそ45%をまかなっている。2020年までに石油に頼らない社会とCO2を40%削減する目標も同時に掲げている。新規の原発ではなく、将来老朽化したものをまた再建するという点は新たな原発を十数基建設しようという日本とは一線を画している。日本は資源がないから原発だといいながら石油の使用量は増え続けている。その点がスウェーデンと違う。
しかし、政策の転換の背景には何があるのか、「ミツバチの羽音と地球の回転」の取材で明らかにしていきたいと思っている。


kama